2023/02/02
帯状疱疹は水痘帯状疱疹ウイルスを原因として発症する病気です。初めてこのウイルスに感染すると水ぼうそうと呼ばれる水痘を発症します。その後もウイルスは生涯にわたって体内(神経節)に潜伏します。普段はウイルスが潜んでいても悪さをすることはありませんが、ストレスや疲れ、免疫機能の低下などに伴い体内に潜んでいたウイルスが再活化すると帯状疱疹を発症します。
帯状疱疹は加齢に伴って発症率が高くなり、特に50歳代から急激に増加し80歳までに約3人に1人が発症すると言われています。日本の成人の90%以上はこのウイルスが体内に潜伏していて、帯状疱疹を発症する可能性があると言われています。日本では毎年約60万人の帯状疱疹の発症が報告されています。
帯状疱疹の主な症状は皮膚症状と神経痛の2つですが、時には合併症も見られます。通常、体の左右どちらかの皮膚がチクチク ピリピリするような痛みを感じその部分に赤い発疹や水疱が帯状に現れます。帯状疱疹という病名はこのような皮膚症状の特徴に由来しています。
皮膚症状が治った後も痛みや感覚異常が数ヶ月から数年にわたって続くこともあり、帯状疱疹後神経痛と呼ばれています。「焼け付くような」「電気が走るような」などと痛みを表現されることもあったり、衣類が擦れたり冷風が当たったりするだけでも強い痛みが引き起こることもあります。症状には個人差がありますが、帯状疱疹後神経痛は年齢が高くなるほどリスクが高くなると言われています。症状がよく現れる部位として肋間神経のある胸や背中が挙げられますが、顔・下腹部・腕・お尻・目・耳・頭・唇など体のどこにでも出現します。
帯状疱疹は免疫が下がると発症しやすくなるので、早寝早起き、バランスのとれた食事、十分な睡眠をとるなどできるだけ健康的な生活習慣を保ち免疫力を高めることが予防に有効です。また、適度に体を動かす、心身とも落ち着いた時間をつくるようにするなどストレスが蓄積されないようにすることも大切です。
帯状疱疹の治療では一般に抗ウイルス薬による薬物療法があります。皮疹が現れたらできるだけ早く抗ウイルス薬を服用し症状の緩和や合併症の軽減を目指すことが大切です。早ければ早いほど治療作用が高く重症化しにくくなります。
帯状疱疹の再発予防として、最近では50歳以上の人を対象とした不活化ワクチンの接種(自費)ができるようになり、ワクチンによる高い作用があります。水痘帯状疱疹ウイルスへの抵抗力を高め病気の発症を抑えられるだけでなく、もし発症してしまっても重症化しにくくなり痛みが残りにくくなるなどが期待できます。
帯状疱疹ワクチンは2回の筋肉内注射です。2回目は1回目接種から2ヶ月後に接種します。(2か月後に接種できなかった時は遅くとも6ヶ月後までには接種してください。)
当院でもワクチン接種を受けることができますので、ご希望の方はスタッフにお声かけください。