稲上耳鼻咽喉科・気管食道科|津市河芸町東千里の耳鼻咽喉科

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尿トラブル

腎臓でつくられた尿は尿管を通って膀胱に入ります。膀胱はこの尿を一時的に貯めておくための下腹部恥骨の後方にある器官です。膀胱の許容量は500mlほどですが、通常尿が250ml〜300mlほど溜まると神経が刺激され尿意をもよおします。

膀胱の容量レベルと尿意の起こるレベルに少しゆとりがあるためと膀胱には意志によるコントロールが可能な筋肉があるため、尿意が起きた瞬間にトイレに行かなくても我慢ができます。

膀胱は筋肉でできた袋ですが、この筋肉が硬くなることで頻尿や尿失禁 残尿感といった尿トラブルを引き起こすようです。

その要因が

1 膀胱の血流低下です。血流と筋肉には密接な関係があり膀胱に流れる血液が少なくなると膀胱の筋肉はしなやかさを失い硬くなるようです。

2 血管でつくられる一酸化窒素(NO)というガスが減ることも膀胱の筋肉がしなやかさを失う一因です。NOは筋肉を柔軟にする働きがあり、加齢や生活習慣病があると十分につくられないようです。

3 さらに、呼吸や食事からエネルギーを生み出す際に体内で発生する活性酸素は細胞をサビつかせたり血管の機能を低下させたりしてNOを減らします。

膀胱の筋肉が硬くなってきているとわかるサインがあり、男性では夜中に起きてトイレに行くこと。女性ではトイレが近くなり我慢できにくくなっていることです。

咳やくしゃみなどお腹に力を入れた瞬間に尿漏れするのは、体の構造的な問題だと言われているそうです。女性は産後に骨盤底筋が緩むことで起こりやすく、物理的な問題なので筋肉を鍛えることで治すことができます。

尿トラブル対策

1 筋肉を鍛えましょう

1)歩くことを心がけ、全身の筋肉を動かすように姿勢よく大股で少し速歩きを意識します。膀胱の筋肉を直接動かすことはできませんが、足腰を動かして筋肉を使うと血流が良くなりNOが増え膀胱の筋肉を柔らかくすることができます。

2)スクワットは足腰を強くします。和式トイレが主流だった頃は毎日スクワットをしていたようなもので、尿トラブルは少なかったようです。

3)うつ伏せになり腕とつま先だけで体を支えるプランクをすると体幹の大きな筋肉が鍛えられます。

4)イスに座って肛門を5秒ほどギューっと締めて緩めるを数回繰り返す

5)トイレに行ったら数秒間は排尿を我慢する。

などがすすめられています。

筋肉量が少なくなると排尿回数は増え、筋肉をしっかり使うと筋肉が水分を保持して排尿回数は少なくなるということが明らかになっているそうです。

2 活性酸素対策として、食事はよく噛んで腹八分目が良いようです。

体内のNOを増やすために抗酸化成分やNOの原料であるシトルリンやアルギニンといったアミノ酸を多く含む食材を食べましょう。シトルリンはスイカ・きゅうりなどウリ科の植物に、アルギニンは豆類・魚介類などタンパク質が多い食品に豊富です。

3 交感神経を刺激しすぎないように

体が冷えたり緊張したりするとトイレが近くなりやすいですよね。これは、自律神経によって膀胱の開け閉めが行われているからです。交感神経の働きが強すぎると全身の筋肉が緊張し本来は緩んでいるはずの膀胱の筋肉も収縮して尿トラブルが起こりやすくなります。

パソコンやスマホ、テレビの画面を見ると交感神経が刺激されます。夜遅くまでそれらを使用することが夜中トイレのために起きる状況をつくり出しているようです。

4 下半身の血流を良くする生活を

ぬるめのお湯にゆっくり浸かったり、座りっぱなしにならないようにしましょう。

自分の生活習慣を見直し健康維持改善につながればと思います。

心配な方は泌尿器科受診をご検討ください。